チョコレートのテンパリングとは? -なめらかなチョコレートを作るコツ-

お菓子づくりのコツ・豆知識

チョコレートを溶かしたりして使うとき、テンパリングって言葉がよく出てくるけど、いまいちよく分かってないんだよね。

温度を調節することだよね?

そうだよ~。

チョコレートの油脂成分であるカカオバターの性質がチョコレートのなめらかさに関わっているんだ。

その性質に温度が関係してくるんだよ。

この記事では、チョコレートにおけるテンパリングの目的と方法についてまとめました。

チョコレートの原料と製造

チョコレートの原料は、熱帯植物のカカオ樹から採れるカカオ豆です。

カカオの樹

カカオ豆を焙煎し、破砕して皮を取り除いたものをさらにすりつぶしてペースト化したものがカカオマスとなります。

カカオマスを圧搾すると液体状のカカオバターと固体状のココアケーキに分けられます。

このようにしてできたカカオマス、カカオバター、ココアケーキは以下のように配合され、それぞれの製品の原料となります。

チョコレート・ココアパウダーの主な原料

※この表は一つの目安です。製品によってはスイートチョコレートに粉乳が含まれることもあります。

ホワイトチョコレートはカカオマスが入っていないから白くなるんだね!

テンパリングとは?

テンパリングの役割

テンパリングとは、チョコレートに含まれるカカオバターの結晶を安定した状態にすることです。

カカオバターの成分は油脂であり、高温のときは分子が離れてバラバラになっています。
(これがチョコレートが溶けている状態です。)

温度が下がってくると分子同士が近づき、チョコレートが固まってきます。

この固まるときの油脂の結晶を整えることがテンパリングの役割です。

テンパリングの原理

カカオバターの結晶型(分子の状態)にはⅠ~Ⅵ型の6種類あります。

カカオバターの結晶型と状態

チョコレートを40~50℃程度の温度で溶かすと、すべての結晶の融点を超え、分子がバラバラの状態になります。

そこから温度を25~27℃程度まで下げていくと、Ⅳ型の結晶ができ始めるとともに、Ⅴ型が一部混在した状態となります。

その後、30℃程度まで温度を上げると、不安定なⅢ、Ⅳ型の結晶は溶け、安定したⅤ型の結晶のみとなります。

Ⅴ型の結晶のみとなれば、その結晶を核としすべての油脂がⅤ型へと誘導されていきます。

このようにしてできたチョコレートは安定で口どけが良い状態となります。

テンパリングしないとどうなる?

冷やしすぎても温めすぎても綺麗な結晶にならないんだね!

テンパリングをしないとどうなるのかな?

テンパリングをせずにそのまま固めると、最終的に結晶が粗いⅥ型の結晶になって、口どけが悪くなったり、結晶が白くなっちゃったりするんだ。

テンパリングをせずに溶けたチョコレートをそのまま固めてしまうと、不安定な状態で結晶型の転移(次の型に移ること)が進み、最終的に粗大な結晶であるⅥ型になるものが出てきます。

Ⅵ型の結晶は白っぽく見えることや、融点が高く、ザラザラとした食感となることが特徴です。
(この白い結晶はファット・ブルームと呼ばれます。)

テンパリングは、Ⅴ型の結晶のみで安定化させ、口どけのよいチョコレートをつくるために必要な作業なのです。

テンパリングの方法

テンパリングの温度はチョコレートの種類によって変化します。
カカオ豆の品種や産地によっても変わりますが、特に乳脂(粉乳)が入っているかどうかで温度が大きく異なります。

チョコレートの種類ごとのテンパリング温度(目安)

チョコレートなどの温度を測る際には非接触型の赤外線温度計が便利です。

 

以下、スイートチョコレートにおける一般的なテンパリング方法です。

スイートチョコレートのテンパリングの手順

①チョコレートを細かく刻み、湯せんで50℃程度に加温(すべての結晶型が溶ける)

②氷水にボウルを当て、かき混ぜ続けながら26~27℃に冷却(Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ型の結晶型が混在する状態)

③軽い湯せんで30~32℃に加温(Ⅴ型の結晶型のみ残る)
※温めすぎると結晶が崩れてしまうため、慎重に少しづつ温度を上げる

④18℃程度に冷却(Ⅴ型の結晶型が核となり、綺麗に詰まった配列となる)

 

この記事では、チョコレートにおけるテンパリングの目的と方法についてまとめました。

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