焼き菓子づくりに欠かせないと言っていいほどよく使われる卵(鶏卵)。
その構造と特性についてまとめてみました。
素材について基礎から知ることで、失敗のないお菓子づくりを目指しましょう!
卵の構造
卵は、大別すると卵殻、卵白、卵黄の3つの要素で構成されています。
卵殻
卵殻とは、いわゆる殻の部分のことですが、これもいくつかの要素で構成されています。
クチクラ
卵の一番外側の部分。
新鮮な卵ではザラザラした触感です。
外界からの細菌の侵入を防ぐ役割があります。
卵殻
卵殻のほとんどは炭酸カルシウム(CaCO3)でできています。
わずかにリン酸マグネシウムやリン酸カルシウムが含まれています。
卵殻膜
外膜と内膜で構成されています。
鈍端部(卵の尖っていないほう)の外膜と内膜の間には気室があり、空気が含まれています。
気室は卵が古くなると大きくなります。
これは、卵内部の水分が蒸発していくためです。
卵の鮮度を調べるために塩水に浸けてみる方法は、この気室の増加によるものです。
気室が大きくなると空気が移動し品質劣化に影響が見られるため、卵は気室のある丸い部分を上にして保管することが良いとされています。
つまり、卵は古くなるにつれて表面がツルツルになって、重さは軽くなるということなんだね!
でもクチクラは水で洗ったり擦ったりするだけではがれちゃうから、ツルツルだからと言って古いとは限らないみたいだよー。
卵白
卵白は約89%が水分からなっています。
残りはほぼタンパク質で、微量の無機質、ビタミンが含まれています。
また、卵白には濃厚卵白と水様卵白の2種類があり、粘度の高い濃厚卵白が二層の水様卵白に挟まれる形で存在しています。
新鮮な卵の卵白には炭酸ガスが含まれており、やや黄色く見えます。
卵が古くなるにつれ、炭酸ガスは二酸化炭素となって抜け、濃厚卵白は水様卵白へと変わっていきます。
新鮮な卵を割ると、卵白がプリッと盛り上がってるよね!
あれが濃厚卵白か~
卵黄
濃い黄色の卵黄と薄い乳白色の卵黄(ラテプラ)が層をつくり形成しています。
卵黄の周囲には卵黄膜が存在し、この両端にはカラザと呼ばれるねじれたひも状の物質が付いています。
カラザは、アミノ酸や糖類から形成されており、卵黄を中心に保つ役割があります。
また卵黄は、水分(50%)、脂質(30%)、タンパク質(15%)からなっています。
脂質はタンパク質と結合したリボタンパク質や、レシチンを主成分としたリン脂質、コレステロールとして存在しています。
卵の特性
卵には様々な調理特性があり、お菓子づくりにおいても重要な役割を持っています。
詳細については別の記事でまとめているものもあるので、ぜひそちらも覗いてみてください!
熱凝固性
卵は、加熱によりタンパク質が熱変性し、凝固する性質を持っています。
卵白と卵黄で凝固する温度は異なりますが、砂糖濃度が高くなるほど凝固温度は高くなります。
卵白:58℃を超えると凝固が始まり、62~65℃くらいで流動性を失いゼリー状になる。
70℃でほぼ完全に凝固するが、完全に凝固させるには80℃以上が必要となる。
卵黄:65~70℃の熱で完全に凝固する。
起泡性
卵白に含まれるタンパク質には表面張力を下げる作用があり、撹拌すると、少しずつ空気を含み泡立ちます。
これを起泡性といいます。
お菓子づくりにおいては、スポンジケーキやシフォンケーキの製造に関わる性質です。
起泡性については以下の記事にまとめました!
乳化性
乳化とは、水や油など、本来混ざり合わないものが均一に分散し、混ざり合う現象のことです。
卵黄には、乳化剤としての役割を持つレシチン等が含まれており、お菓子づくりにおいても重要な役割を担っています。
卵の乳化性については以下の記事にまとめています。
よろしければご覧ください!
今回は、卵の構造と特性についてまとめました。
素材を知って美味しいお菓子づくりをしよう!
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