卵には調理特性として、乳化性というものがあります。
乳化性は食品加工において重要な役割を持っています。
パウンドケーキとかつくるときも乳化の過程があるよね!
そもそも、なんで乳化しなきゃいけないんだろう??
ここでは、乳化の原理とお菓子づくりにおけるポイントについてまとめていきます。
乳化とは?
乳化について
乳化とは、水と油のように、本来混ざり合わないものが均一に分散し混ざり合う現象のことです。
乳化した溶液のことをエマルションといいます。
そして、エマルションには水中油滴型(O/W:Oil in Water )と油中水滴型(W/O:Water in Oil)の2種類があります。
O/Wエマルションは水の中に油が混ざった状態で、ドレッシング、マヨネーズなどはこの状態です。
W/Oエマルションは油脂の中に水が混ざった状態で、バターなどがこの状態です。
乳化自体は、水と油をよく混ぜればできます。
よく振ったドレッシングは一時的に乳化した状態です。
ただし、混ざったドレッシングを放置しておくとすぐまた分離してしまうように、そのままでは乳化した状態を維持することができません。
乳化した状態を維持するのには乳化剤が必要です。
乳化剤について
水と油のような、本来混じり合わないものの境界面で働いて、均一な状態を作る作用を持つものを乳化剤といいます。
また乳化剤は、親水部分(水になじみやすい部分)と親油部分(油になじみやすい部分)をあわせ持つ化合物です。
上の図はO/Wエマルション中の油滴とW/Oエマルション中の水滴の周りを乳化剤が取り囲み、安定化させている模式図です。
乳化したエマルションに乳化剤が加わることで、再分離を防ぎ、安定した状態を保ちます。
※ちなみに、「乳化剤」と「界面活性剤」は機能としては同じものですが、食品に使われるものは「乳化剤」と呼ばれます。
卵の乳化性
卵には、乳化剤の役割を持つ成分(リボタンパク質やリン脂質)が含まれています。
特に乳化剤としての役割を果たしているのが、卵黄中に含まれるレシチンというリン脂質です。
卵黄の脂質成分のうち、約26%がレシチンです。
卵黄を用いた乳化食品の一つとして、マヨネーズが挙げられます。
マヨネーズは酢(水分)と油を混ぜて作りますが、そこに卵黄を加えることで乳化剤としての役割を果たしています。
マヨネーズってなめらかだよね♪
水と油が綺麗に混ざり合ってるんだね!
お菓子づくりにおける乳化
お菓子づくりにおいても、乳化を利用したものが多いです。
パウンドケーキやシフォンケーキなどの焼き菓子のほか、チョコレートに生クリームを加えてつくるガナッシュもそうです。
乳化は、水と油を均一に混ぜ合わせる工程ですので、これが上手くいかないと水と油は分離したままです。
パウンドケーキの生地などを分離状態で焼き始めると、水分は蒸発し、中身はボソボソした状態になり、油っこい焼き上がりとなってしまいます。
きちんと乳化できたものは水分の分散も均一となり、きめ細やかでしっとりとしたパウンドケーキとなります。
乳化のポイント
パウンドケーキの生地って気を付けないと分離しちゃうよね。。
もう分離させたくない!
きちんと乳化させるにはポイントがあるんだよ!
▶ 加えるときに油脂が冷える温度にしない
▶ 少しずつ混ぜ合わせる
▶ 配合を確認する
加えるときに油脂が冷える温度にしない
パウンドケーキの例で説明しますが、シュガーバッター法では、まずバターに砂糖を混ぜ、そこに全卵を加え乳化させます。
ここでまず一つ目のポイントは、冷蔵庫から出したての冷たい材料を使用しないことです。
冷たい卵を加えると、バターの油脂が固まってしまい、上手く混ざり合うことができません。
バター、卵ともに常温(20℃前後)にしてから始めるようにしましょう。
少しずつ混ぜ合わせる
二つ目のポイントは、少しずつ乳化させるということです。
少しずつ混ぜる合わせるためには、バターも卵もそれぞれよく混ぜておくことが必要です。
★バター:泡だて器で空気を入れるように混ぜ、よく砂糖と混ぜ合わせておきます。
空気を含み、よく砂糖と混ざったバターは白っぽくふわふわの状態になります。
★卵:卵白を切るようによく解きほぐしてから大さじ1杯程度ずつバターに加えます。
加えるたび、最初は水と油が分離してきますが、よく混ぜ合わせてなめらかな状態にします。
また、どうしても分離してしまいそうなときは、その後加える小麦粉の一部を先に混ぜ合わせると小麦粉が余分な水分を吸収し、分離を防ぐことができます。
配合を確認する
三つ目のポイントとしては、気をつけても分離してしまうとき、水分が多いなど材料の配合が原因であることもあります。
配合を見直してみるのも一つの手段かと思います。
今回は、乳化の原理とお菓子づくりにおけるポイントについてまとめました。
美味しいお菓子で幸せになろう!
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